17人が本棚に入れています
本棚に追加
「そういえば、仁美さんからチャットアプリ宛に写真が送られていたな」
絢奈はスマホでその写真を見ることにした。写真には、曼荼羅と無数の頭蓋骨、そして法具と思しき道具が写っていた。
「黄金の頭蓋骨、すなわち髑髏本尊。そして荼枳尼天が描かれた曼荼羅。これは間違いなく真言立川流、もとい『彼の法』集団だな。仮に藤崎家が本当にその密教の末裔だとしたら、豊岡という街自体が大変なことになる。一刻も早く、なんとかしなければ。でも、僕に何が出来るのだろうか」
そう思いながら、絢奈はスマホの地図アプリで芦屋から豊岡までの距離を確認していた。
「芦屋から豊岡までの距離はおよそ130kmか。これは……僕が行くしかないな」
部屋着から黒いライダースジャケットに着替えた絢奈は、ヘルメットを被って、家の鍵を閉めた。そして、駐輪所に停めていたカワサキグリーンのバイクに跨って、ギアを入れた。
「――仁美さん、間に合ってくれ」
そう祈りながら、絢奈は芦屋インターから阪神高速へと乗り入れた。目指す先は、もちろん豊岡である。
最初のコメントを投稿しよう!