Phase 01 消えた姉妹

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「それで、亜紀が死んだというのは本当なのかね」 「お父さん、本当です。円山川で溺死体として発見されたのは事実です」 「そうか……最後に亜紀の顔を見てやったらこんな事にはならなかったのだろうか」 「賢治さん、それは私にも分かりません」 「まあ、そうだろうな。そういえば、幸子は今回の事件をどう思っているんだ?」 「祟りでしょう」 「祟り?」 「きっと、『平家の祟り』なのだと思います」 「『平家の祟り』? そんなふざけた話があるわけ無いだろう」 「但馬という地域には平家の落人伝説が残っています。もちろん、豊岡も例外じゃないです。昔、城崎で一家が蒸発した事件が発生したのはご存知でしょうか。それも娘の入水自殺から始まっています。その事件は表向き『平家の祟り』ということにされています。もちろん、他にも理由はあるんでしょうけど……」 「おばあちゃん、『平家の祟り』かどうかは知らないけど、そんな偶然があったら怖いよ」 「そうだよねぇ。そうなる美和ちゃんまで死んじゃうことになっちゃうからねぇ」 「コホン。ともかく、城崎一家蒸発事件の事は一旦棚に置いた方がいい。今日はもう家族会議は辞めにしよう」  こうして、賢治の一言によって家族会議は一旦終わることになった。
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