Phase 04 絢奈と仁美と鶴丸刑事の長い1日

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 絢奈が2人の首無し死体の情報を受け取ったのは、鶴丸刑事の悲鳴を聞いた瞬間だった。パトカーで待機中だった絢奈は、改めて「城崎一家蒸発事件」の仔細について調べていた。 「事件の発端は1959年の12月か。円山川で女性が入水自殺を図ったのがきっかけか。自殺した女性は結婚したてホヤホヤで、初夜を過ごした次の日に自殺を図ったことになるのか。気の毒だ。それから16年経った1975年に妹がアパートで自殺未遂を図った。ガス中毒だったこともあって周辺住民によって自殺は阻止されたけど、入院先の病院で首を括って亡くなったと。本人は『頭が痛い』と訴えていたけど、実際のところはどうなんだろうな。それで、妹が亡くなった3ヶ月後に姉妹の母親が焼死するという事件が発生したのか。焼死した理由は善く分かっていないらしい。当然、ショックを受けた父親も母親後を追うように首を括った。噂では『平家の祟り』とか『五輪塔の祟り』とか色々と言われているけど、実際のところはどうなんだろうな……。そういえば、真言立川流の悟りの中にも『五輪塔』が出てくるな。因果関係はあるのだろうか……」 「絢奈さん! そこにいますか!」 「僕はここにいるが、何でしょうか?」 「大変です! 光雄さんと幸子さんの首なし死体が発見されました! これで間宮家は一家全滅したことになります」 「そうか。僕も事件現場へ向かって良いのか」 「一応、許可は取ってありますが……」 「分かった。そっちへ向かう。ちなみに、僕は間宮美和と知り合いだから家の中がどうなっているのかは分かる」  絢奈は、事件現場である間宮家の仏間へと向かった。
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