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「これは酷いな。畳に血溜まりが出来ている」
「遺体の方は、現在監察医が詳しく調べているところです。死因は恐らく首を斬られたことによる即死でしょう」
「それで、死体はどういう状態だったんだ」
「なんというか、禅宗における座禅のようなポーズをして首を斬られていました。私が思うには、何かに対する『見立て』だと思うんですが……」
「首は見つかったのか」
「そう思って、鶴丸刑事が井戸の方を調査しています。あっ、戻ってきましたね。鶴丸刑事、井戸の方はどうでした?」
「それが……首はありませんでした」
「本当か」
「本当です。前回由香さんが殺害された時に首が井戸の中に入っていたので今回も入っているんじゃないかって思ったんですけど、矢っ張り犯人も同じ手は使わないみたいですね……」
「それで、色んな部屋は隈なく探したんですか?」
「探しました。でも、矢っ張り首はありませんでした」
「そうだ」
「絢奈さん、どうしたんですか?」
「僕はある『可能性』を考えた。信じるかどうかは2人次第ですけど、多分僕の見解は合っていると思います」
「詳しく教えて欲しいです」
「まあ、こんな所で話すのもアレですし、藤崎家へと向かいましょう」
「ふ、藤崎家!?」
「そうです。藤崎家です」
「そういえば、西田刑事は気を失っていたから覚えていないかもしれないですけど、僕たちが監禁されていた場所には、藤崎家の離れでした」
「離れ?」
「藤崎家は基本的に武家屋敷なんですけど、離れはなぜか洋風というか、昔ながらの洋館なんですよね。もしかしたら、離れに『何か』があるかもしれない」
「そうですか。ここは鶴丸刑事と絢奈さんの言葉を信じましょう」
こうして、3人は藤崎家へと向かうことになった。
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