Phase 05 真冬の夜の追憶

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Phase 05 真冬の夜の追憶

 藤崎大輝は死体遺棄(いき)容疑で緊急逮捕され、絢奈と仁美は近くの病院へと緊急搬送された。仁美はかすり傷程度で済んだが、矢張り背中に銃弾を受けた絢奈はそのまま手術室へと運ばれた。 「それにしても、酷い銃創(じゅうそう)だな。果たして取り除く事ができるだろうか」 「確率は半々ぐらいでしょうね」 「まあ、やれるだけやってみましょう。ダメだったらそれまでです」  一方、豊岡北警察署の取調室で、鶴丸刑事は大輝に質問を投げかけた。 「大輝さん、あなたの祖父が宗教家と言うのは本当ですか?」 「本当です。まあ、家系図を見れば分かりますが、僕の祖父は藤崎正太郎と言います。祖父は、とても厳しい人でした。少しでも言うことを聞かないと木刀で臀部を殴られることも多かったです。そんな僕でも、祖父に気に入られたいと思って努力してきました。文武両道を目指すべく、中学校と高校では剣道部に入部していました。もちろん、勉強も頑張っていました。しかし、祖父は僕が学力テストで2位を取っただけで叱ってきました。常に1位じゃないとダメだったんです。ちなみに、その時学力テストで1位を取っていたのは神無月絢奈さんでした。僕は神無月さんに好意を抱いていたんですけど、彼女のある行為を見て、性的な衝動を抱いてしまいました」 「性的な衝動って、もしかして……」 「自傷行為です。神無月さんは自傷行為の常習者でした。神無月さんの腕から流れる血を見る度に、僕は興奮してトイレの中で自分の陰部を激しく擦りました。所謂自慰行為です。当然、自慰行為は保健室でも行っていました。神無月さんは自傷行為をする度に保健室に搬送されていましたからね。それで、ある日僕はついに手出しをしてしまったんです」 「手出し?」 「神無月さんを僕の家の離れに呼んで、そのまま犯したんです」 「神無月さんって、優しいんですね」 「そうかな」 「僕が真言立川流っていう変な宗教の末裔でも、友達でいるんですよね」 「真言立川流か……確か、男性と女性が交わることによって出来る液体を頭蓋骨に塗って、その上から金箔を貼り付けて曼荼羅を描いていくって聞いたことがあるな」 「よく知っていますね。どこで知ったんですか?」 「まあ、友人が貸してくれた『狂骨の夢』っていう小説だな。友人が京極夏彦好きだったから、借りて読んだんだ」 「へぇ……じゃあ、僕も君と一つの生命体にならないか?」 「と、突然どうしたんだ! 僕はそういうのはお断りだ!」  大輝は、抵抗する絢奈の服を脱がした。白い肌に、瑞々しい乳房が顕になった。 「一人称が『僕』の割に、神無月さんは華奢な肉体を持っていますね。自傷行為の痕が少し気になりますが、一つの生命体になるには丁度いいですね」 「い、いやああああああああああああッ!」  それから、大輝は絢奈を犯し始めた。14歳の、夏のことだった。
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