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6時30分にセットされた亜紀のスマホのアラームで目を覚ました美和は、よだれを垂らして眠っている亜紀を横目にそっと部屋を出た。当然、スマホのアラームはスヌーズ設定にしてあるので、亜紀は美和が消えたことに気付いていない。
亜紀が自室に戻った数時間後、亜紀は漸く目を覚ました。そして、ノートパソコンを起動して小説を書き始めた。相変わらず、間宮亜紀という人物はマイペースである。だからこそ、こうやって35年間生きているのだけれど。
そんな中で、亜紀は自分のスマホに通知が来ていることに気づいた。未読数、1件。
「うーん……オカンからメッセージ? 一体なんや?」
亜紀はスマホのメッセージアプリを起動した。
【亜紀に報告があります。あなたをとある実業家の家に嫁がせようと思っています。名前ぐらいは知っているよね? 実業家の名前は藤崎亮と言います。藤崎家自体も名家で豊岡では知らない人はいないと思います。今回の婚約の話は、藤崎家側からの提案です。いい話だと思いませんか? ユカ】
亜紀は思わずスマホを落としかけた。そして飲んでいたコーヒーを噴いた。
【オ、オカン!? それホンマに言うてんの? 冗談とちゃうよな? アキ】
亜紀はスマホで由香にメッセージを送信した。返事は直ぐに来た。
【本当よ。発達障害を抱えているあなたには成年後見人が必要だった。正直言って、私たち間宮家だけじゃ不安だったわ。でも、藤崎家と亮さんからゴーサインはもらっているわ。一度顔を合わせてみましょう ユカ】
【分かった。直ぐに用意するわ アキ】
【いくらなんでもせっかちよ。ちゃんと段取りを決めないと ユカ】
【はいはい アキ】
亜紀は有頂天だった。まさか自分が大富豪の家に嫁がれるとは思ってもいなかったからだ。仮令それが両家による政略結婚だとしても、パートナーを得る事が出来るのならば良いと思っていた。
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