微睡の中の彼を想う

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「__美嶺ー!ママそろそろ仕事行くからねー?」 『ん......んぁ、れ?』 聞き慣れた声で目が覚めた。 むくっと起き上がって周りを見渡すと、 見慣れた私の部屋だった。 『......?......カフェ__』 さっきまでカフェにいたはず...... まさか、今の全部夢? 『__あんな現実味のある夢、はじめてだなぁ』 とりあえず、顔洗おーっと。 眠い目をこすりながら部屋を出た。 「おはよう。相変わらず朝弱いのね」 『いいじゃーん。学校ないんだし』 「今日はね。でも明日テストあるんでしょ?  ちゃんと勉強するんだよ?」 『はぁーい』 「じゃ、仕事行くから。  机にサンドイッチとココア、  あと冷蔵庫に弁当あるから適当にあっためて食べて」 『ありがと。仕事頑張ってね〜』 「はいはい、いってきます」 ガチャっ、とドアが閉まった。 『さて、と......』 顔を洗って、リビングにある椅子に座って サンドイッチを頬張りながら考える。 『あの人、一体誰だったんだろ』 現実では会ったことない。 でも文字で会話したことがある。 文字で会話ってことはSNS? いや、年上の男の人の連絡先なんて 持ってないんだけど。 じゃあ同い年か年下? 一応、クラスメイトのなら何人か持ってるけど 夢で見た青年じゃない。 年下に関しては持ってないし。 『んー......ダメだ、ぜんっぜん分かんないや』 __あ、でも1つだけ思い出した。 夢に出てきたカフェの名前......「Present」だっけ? 確か "贈り物" とか "贈呈する" とか、 いろんな意味があるけど...... "現在の" って意味もあった気がする。 『現在、ね......いつか現実で会えたりして』 なんて、ね。でも、そうだな...... 『__もしも、どこかで会えたなら』 その時はちゃんとお話ししたいな。 結局、あの人の名前聞きそびれちゃったし。 (すす)ったココアはすっかり冷えてたけど 胸はすごくあたたかくなった。
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