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見慣れない町、見慣れない道。
そんな中、私はとある場所に向かっている。
ーPresentー
緑に囲まれた、オシャレなカフェ。
涼やかな風が吹き、心地よさを感じさせる。
客もそれなりにいるみたいで
賑やかだけど騒がしすぎない、
ゆったりとした雰囲気が外から見ても分かる。
店の名前の「Present」の意味は
イマイチ汲み取れないけど、とてもいいところだ。
入り口の近くには、たくさんの人がいた。
待ち合わせをしているみたい。
私が今から会う人も、いるのだろうか。
[〜♪......〜♪]
ぼんやりと店を眺めていると
スマホの着信音が流れた。
『......電話?』
もしかして、と思い
すぐに通話ボタンを押した。
[あ、もしもし?]
聞こえたのは、男の人の声だった。
__彼が、そうだろうか。
『もしもし』
[えーっと、もう店着いた?
俺、今入り口の近くにいるんだけど......]
『私も今、入り口の方に向かってるよ。
その......服装、どんな格好?』
顔も分からない人を探すのは
さすがに難易度高すぎる。
[えっと、濃いめの緑のパーカーで帽子かぶってる。
あ、あと木が近くにある]
......木?
あ、もしかしてテラスっぽいところに
植えられてる......あれかな?
深緑のパーカーに帽子をかぶり、
スマホを耳に当てて辺りを見渡している青年。
その青年と、目が合った。
すらっとした体型に、端正な顔立ち。
オシャレとか俳優とかに詳しくない私でも
"かっこいい" と思った。
『.........』
私は通話を切って、青年に近づいた。
彼も、通話の相手が私だと分かったのだろう。
ニコリと笑い、スマホをポケットにしまった。
『はじめまして、だね。こうして直接話すのは』
「そうだね。まさか実際に会うことになるとは
思わなかったけど」
『文字だけだとお互いがどんな感じなのか
分からないから、すごく新鮮だね。
君が男の子って知った時はびっくりしたなぁ』
「俺も、君が同年代だって知った時は驚いたよ。
てっきり成人してるのかと思ったら、
まさか年下だったとはね」
青年はどこか緊張した、
それでも優しげな顔で話してくれた。
『とりあえず入ろっか。君ともっと話がしたいな』
「俺も君のこともっと知りたい。あと、名前__」
『あ、言ってなかったね。花園 美嶺です』
「美嶺......良い名前だね」
『ありがと。__あなたの名前は?』
青年は私の目を見て、言った。
「俺の、名前は__」
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