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保育園に到着し、私は車から息子を降ろす。
「嫌だよ」
息子はグズっている。
「泣き止んだだけまだマシか」
私はそう言い聞かせ、息子を連れて保育園に入る。
「おはようございます」
「おはようございます。今日からですね。よろしくお願いします」
出迎えてくれたのは、園長先生だった。
園長先生は、息子と同じ目線になるまでしゃがみ込み
「よろしくお願いします」
と、ゆっくりした口調で息子に話しかけた。
息子は、まだグズっている。
私は、スマートフォンで時間を確認しながら
「ごめんなさい。出勤まで時間がないので、よろしくお願いします」
と言って、急ぎ足で車に戻る。
「行かないで」
背後から息子の声が聞こえる。
私は罪悪感を感じた。
「夕方には戻ってくるから、お利口さんにしててね」
私は運転席から息子に手を振って、車を走らせた。
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