名前負け

「だって、桜なんて名前、漫画やアニメじゃ、一番かわいい子につけられるやつじゃん。だから、小さい頃から、お前には似合わない名前って、からかわれてきたから、わたし、自分の名前、大嫌いなの」
「でも、どきゅんネームじゃないし、いい名前じゃん、俺なんか雄二だぜ、雄二。普通過ぎて、全然面白くねえ名前だぜ」
「いいじゃない、面白くない名前で。名前なんて、平々凡々の方が、からかわれなくていいじゃない」
「桜って、名前、俺は可愛くて、いいと思うぜ」
「あんた、あたしの言ってること、ちゃんと聞いてる？」
「だから、俺が可愛くて、いい名前だって思ってるだけで、充分だろ」
「なによ、それ」
「だから、かわいくて、好きだって、俺が満足してるだけじゃだめか？」
「それ、本気で言ってる？」
「ああ、本気さ、お前の名前、可愛くて、好きだぜ、お前の名前。たぶん、一生、好きだぜ」
「・・・たぶん、だけ余計ね」
「わかった、お前の名前、一生、絶対、好きだよ」
「神に誓う？」
「あ、ああ、誓ってやるよ」