2

1/1
前へ
/11ページ
次へ

2

 でも、美雨ちゃんはあたしだけじゃなく、色んな人に声を掛けていた。  あの鈴のような声で。  みんな、嬉しそうだった。  中には、美雨ちゃんが声を掛ける前に、美雨ちゃんに声を掛けに行く人もいた。  美雨ちゃんはあっという間にクラスの人気者になった。  人生で初めての席替えの日。  美雨ちゃんは、あたしに「また近くの席だったらいいね、莉奈ちゃん」と言ってくれた。あたし、名前を教えたっけ?と思ったけれど、そういえば名札に名前が書いてあったと思い出した。  それにしても、「また近くの席だったらいいね」って……と、幼いあたしは思った。  それは、隣は嫌だって意味かな? 隣は別の子がいいってことかな?  色々考えて、そうだ、美雨ちゃんは頭がいいんだったと思い出した。頭がいいから、二回連続同じ人が隣になることはないって考えたのかな?  美雨ちゃんは文武両道で、成績もクラストップ、走っても、なわとびしてもトップだった。  みんな、そんな美雨ちゃんを尊敬の眼差しで見てたなぁ……。  結局、席替えの結果、あたしと美雨ちゃんは席が離れた。  その代わり、美雨ちゃんの隣は優都くんになった。  クラスで一番優しい男の子。  友達が多い男の子。  美雨ちゃんは、優都くんと話していて、すごく楽しそうだった。  ちょっとモヤモヤした。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加