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 時は流れて、あたしは小学四年生になった。もちろん、美雨ちゃんも優都くんも小学四年生。  美雨ちゃんも優都くんも、同じクラスだった。まあ、一学年二クラスしかないから、六年間同じクラスも珍しくないんだけれど。  あたしは去年、もう一人友達ができた。  彩姫(さき)ちゃんといって、とても勝ち気な性格の女の子。でも、どこかの女子グループに所属するというよりかは、一匹狼、という感じだった。  彩姫ちゃんとも、同じクラス。  そして、この頃から、だんだん「恋バナ」が流行るようになった。  どこかに女子で固まっては、誰々が好き。  どこかに男子で固まっては、お前、誰々が好きなんだろ?  くだらない、と思ったけれど、加わらないと仲間はずれにされてしまう。  あたしはこの頃から、美雨ちゃんと彩姫ちゃんと三人で行動するようになっていた。  美雨ちゃんは昔からみんなの人気者で、色んな女子グループと仲が良かった。  その日も、美雨ちゃんと仲の良い女子グループの一つで、恋バナに巻き込まれていた。  美雨ちゃんはいつも恋バナは聞き役だった。  その場にいるだけで、みんな美雨ちゃんに自分の好きな人の話をした。  美雨ちゃんはいつもニコニコ笑って聞いていた。  時々、鈴の鳴るような声で「応援しているよ」と言った。  なんでか分からないけれど、美雨ちゃんがそうやって他の人に優しくしていると、ちょっとモヤモヤする。  そういえばこの気持ち、前にもあったな。
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