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またまた時は流れて、私達は小学六年生になった。
美雨ちゃんとも彩姫ちゃんとも優都くんとも同じクラスになった。
恋愛ムードは本格的ななって、誰が誰に告白したとか、誰と誰は付き合っているとか、あとはゲームの罰ゲームに嘘コクも含まれるようになった。嘘コクなんてサイテーだと思うけど。
六年生の三学期には、クラスの三分の一ぐらいが付き合った経験ありになった。
告白したことがあるとか、されたことがあるとかは、多分クラスの半分以上。
もちろん学年で一番可愛い美雨ちゃんは何回も告白されているし、彩姫ちゃんも、一匹狼なところに憧れたのか、何人かから告白されたって聞いた。でも、二人ともみんなフっちゃったんだって。あたしには縁の遠い話だ。
「どうしたの、莉奈ちゃん?」
あれ、何の話だっけ?
「どうしたのよ、莉奈。今度いつ遊ぶ?って話してたのに」
「ごめんね……」
全然別のことを考えてたって、言えない言えない。
「ふふ、莉奈ちゃん。前髪が目に掛かってる。これじゃ、前見づらいでしょ?」
そう、鈴のような声で言って、美雨ちゃんはあたしの前髪をそっと払い除けてくれた。
細くて綺麗な指で。
そして、ニコッて笑ってくれた。
その瞬間、ドキッとした
胸の辺りが熱くなる。
すごくドキドキする。
そうか、これが恋なのか。
今まですごくぼんやりしていたのが、今急にハッキリと分かった。
でも、なんで……?
あたしが好きになるのは男の子じゃないの……?
美雨ちゃんは女の子だよ?
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