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あの日
君とみた櫻は
疾うに無惨に伐採されて死んでしまったよ
君も僕もこの世界に居場所は何処にも無くて
行き場も無くて
生きる事も死ぬ事も許されない残酷な世界で
藻掻き、足掻くのにもう疲れたから
もう冷たい水の中に溺れて行きたい
花筏が哀しく血のように流れる夜に
黒い川の深淵に
独り君が立っている
その手を取るよ
もう離さないでくれ
君のいる世界に僕をどうか連れて行ってよ
本当の愛をどうか教えて
この腐りきった世界の片隅で
もう僕には愛を知る事すら叶わないのかもしれない愚者だけど
櫻は死する
静かに
君の鼓動しか聞こえない静寂な仄昏い夜に
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