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きゅう!!
ピリッ
「はぁぁ~ マジでくっそ痛いんだが」
朝起きた時も、朝食食べてる時も、登校中の時も・・・!
自分の頬を触るたびに起こる痛み。昨日から痛みは全然引こうとしてない。
「今なんて言ったの?」
靴から上履きに履き替えている途中になんだよ。喋ってくんな。
「だーかーらー! くっそ頬が痛いってーー」
顔を上げると、そこにはサラサラの長い黒髪・・・
(うわ! 佐藤琉芽じゃん)
「へー 清水さんってぶりっ子になるんじゃなかったの? そんな言葉遣いじゃ前の頃になるわよ。まぁ私にとってはその頃に戻って欲しいんだけど」
「あっ ごめぇん! たまに昔の癖がぁ残っちゃうんだよねぇ、指摘してくれてありがとぉ♡」
ピラッ
めんどいのと喋っちゃった。早く教室行こっと。
「ん? これは・・・」
なんか佐藤琉芽が絶句してるけど気にしないもんね!!
ーーー
ピラッ
「ん?これは・・・」
清水みるくの鞄から落ちた一枚の紙。届けようか迷ったけどちょっと見てやろうって思った。
(英語のテストだわ)
昨日返されたあれか・・・ 私は惜しくも98点だったんだけど、
『清水みるく 24点』
「え」
う、嘘よね・・・ だってこのテストの問題ってほぼワークと同じはずよ!?
ワーク一周くらいでもしてたら解けるのに!!
「清水みるく・・・見直したわ」
悪い意味でねっ!
「佐藤さん、おはようございます。下駄箱に突っ立ってどうかしたーー」
「あ、福地君」
後ろを振り向くと推しの福地君が。
(うわ~喋っちゃった!! 推しとリアルに喋ってしまった。尊み秀吉だわマジで)
「それ、まさか清水さんの・・・?」
プルプルと指を指して聞いてくる。後ろに怨霊集まってるように見えるのは気のせい? ・・・フフ きっと、清水みるくの点数見ちゃったのね。
「ええ、ちょっと届けようと思って。どうかしたの?」
「僕が届けて、いいですか」
え? 今なんて?僕が、届けて・・・?
「大丈夫よ、清水さんとは仲良いし」
もし推しが清水みるくに届けたら二人の接触を見ないといけないじゃない!
そんなのは絶対に阻止、よ。
「だから私がーー」
「嫌だ」
反抗したッ...
「 僕が、届けたいです 」
キュン
真剣な眼差し・・・
(本気なのね!?)
なら私は何も言わない! 推しには素直に従う。だって推しの笑顔が見たいもの。
たとえクラスメイトであっても・・・!!
「わかったわ」
一枚の紙切れを・・・『清水みるく 24点』の回答を、推しに、渡す。
「ありがとうございます」
ニコッ
怨霊が後ろを着いていくように推しが階段を上っていく。
バッキュン
(あ~しんど)
きつかったぁ。あの顔は同人誌でも野生の公式でも見なかったわね・・・
「写真、撮ればよかったかしら」
・・・それはキモすぎよね。
ーーー
「清水さん・・・これは、どういうことですか??」
「福地君おはよぉってぇ・・・あ」
見せてきたのは、昨日返された英語のテストの回答用紙。私の点数が書かれている。
(私ちゃんと自分のバッグの奥にくしゃくしゃにして入れたよね!?)
「佐藤さんが拾ってくれましたけど、何ですかこの 24点 は?」
「福地君、声声ぇ!」
大きいぞ。皆に聞かれたらどうするんだ。
「ワークちゃんとしました? 宿題にありましたよね??」
ジリジリ
どんどん私に寄ってくる。本当は顔と顔が近づいててキュンキュンポイントなのに恐怖しか感じないのだが・・・
「ワークしたよぉ! ほらぁ」
そう言って英語のワークを持って福地君に見せる。まぁ実は早く終わらせるためにかいーー
「ワークの解答、写しましたね? 全部丸なのにテストで24点は矛盾している」
私が言おうとしてたことを先に言ってしまうとは!!
「えーっとぉ・・・」
「言い訳を考える余裕があるなら勉強しなさい。いいですか? 今日から放課後は僕と一緒に勉強会をしましょう」
「ええっ!?」
そんなぁ・・・これじゃ帰宅部なのかわかんないじゃん。
「で、でもぉ福地君には部活が」
「僕無所属なんで。いつも図書室で勉強してるから」
無所属とかカッコつけんなよ・・・
「という事で今日から毎日 、 このテストで100点取れるまで! 勉強会、しますからね!」
そっか、一か月後くらいに再テストがあるんだった。
(こっそりかーえろ)
「あ、もし帰ったら 清水さんの家 でやらせてもらいますからね!!」
うん、積んだ♡ 今日から勉強会、頑張るしかねーわ。
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