ゲーム素人のぶりっ子女子が乙女ゲーに転生しました♡

ろく！！

　昼休み。

昼ご飯も食べて、パワー40回復！　そして・・・

「うちのクラスの角を左に曲がると音楽室があります。音楽は毎回ここに移動して授業を受けるんです」

そう！ イケメンによる校舎案内！！ これで残りの60回復だね。

「へぇ～そうなんだぁ！」

正直話は聞いてない。スマホで調べたらマップ出てきたし。

(でもイケメンの隣にいけるチャンスだから！)

しっかり惚れさせてやりましょーね。

　　　　　　　　　　　　　ーーー

　「し、清水さん・・・距離、近くないですか？」

「えぇっ そうかなぁ～？ 普通じゃなぁい？」

ただ福地の隣にいるだけじゃん。何テンパってんだよ。

顔真っ赤にしちゃってさ。ピュアかよ。

ん・・・？ ちょっと待てよぉ。

(なんかこの並び、カップルみたいじゃな～い！？)

横に二人。距離は近め。私の無意識最強すぎ♡

　　　　　　　　　　　　　　ーーー

　「最後はここ、生徒会室です。実は僕、生徒会役員でかいーー」

「え！！ すごいじゃぁん！ なんの役職なのぉ？」

「会計です」

あぁ～ 会長だと思ったのに・・・「かい」まで来たら会長でしょ(勝手な偏見ですごめんね)！

「でも会計なんてぇすごぉ～い！」

「でも？」

聞かなかったフリするよ、ごめんな福地。

「それよりぃ、中に会長とかいないのぉ？ 顔忘れちゃってさ～」

「会長は普段学校にはいないんですよ。女性恐怖症らしくて」

女性怖いって事だよね？

へぇ～ どんな人なんだろう。

ｶﾞﾁｬ

「おい、外うるさいぞ。 何をやってる・・・て」

「ｷｬｱ！」

ドアの前に立ってたからか、ドアに押されて倒れたんですけど！？

「ちょっとぉやめてくださいよ！ いきなりはビックリするでしょぉ！！」

「え・・・？女子？」

まさかのドア開けた人が会長かよ(予想)！！

(くっそイケメンだ)

「会長、すいません！ 今校舎案内をしてて」

「帰る」

鞄を持って帰ろうとする会長。

待ってくれぇ。ちょっとでも名前覚えて後には『コイツ可愛いー』って思わせてやる！

(だが、どうすれば会長は私に惚れる・・・？)

あ、そうだ。

『爪で顔をｶﾞﾘｯってする』
↓
『会長のせいだからぁ、会長に手当して欲しい(大嘘)』→『おけ』
↓
『会長ありがとぉ』ﾆｺｯ
↓
『ｷｭﾝってくる・・・？ (恋に気づく)』
↓
そこからはアタックアタック！
↓
『女性は苦手だが、お前ならなぜか平気だ。・・・ずっと傍にいて欲しい』

キャーッ！ 完璧すぎる！！ この作戦はプランBといこうじゃないかぁ。

(やらないと始まんないよね！)

ｶﾞﾘｯ

爪で引っ掻く。

ﾎﾟﾀﾎﾟﾀ　

血が濁った水溜まりのように見える。うん、大成功(今のところ)♡

　さあ、演技を始めよう。

「うわぁ～ん！ 会長のせいでぇ、顔に傷が出来ちゃったよぉ！！」

爪伸ばしててよかったぁ。

「清水さん、会長何かしました？」

「さっきドアの前にいたんだけどぉ、突然ドア押されて・・・床に倒れた時ぃこの傷が・・・！」

私何言ってんの。意味不明すぎる。

「は？ 俺は何もしてな」

「会長は先帰ってて大丈夫ですよ！ 手当は僕がするので」

マズい。福地、空気読もうぜ！

「会長のせいでこうなったんだからぁ、会長が手当した方がいいと思うなぁ～」

「清水さん、さっき言いましたよね？ 会長は女性恐怖症だって・・・」

「それは女性、でしょぉ？ みるくは女子だもん。 言葉が違いますよねぇ？ かぁーいちょう♡」

実際に調べて考えてみても、高校生までは女の子の事を『女性』より『女子』って言う人多いし。

『女性』と『女子』って意味似てるかもだけど、漢字が違うじゃん！！
↑作者も混乱してますw

「あとぉこれからの社会って女性と関わることが多いからぁ、そのための練習としてでもぉ接した方がいいんじゃないかなぁって思いま～す♡」

そう！ これを私は言いたかった！！

「福地君、いいよねぇ・・・？ 会長の女性恐怖症、治したいでしょぉ？」

ｷｭﾙﾝ

必殺！『ウワメヅカイ』！！

相手を見てちょっと小声で喋るというあざとテクニック定番の技！これは誰でも出来るよね♡ポイントは上・・・よりかは斜め上の角度で見るとよりあざとい。
背高い相手だったらすぐに出来るね！初心者にもオススメしたい♡

ｺﾞﾎﾝｯ
「かい、ちょう・・・清水さんの言う通り女性恐怖症を治す為にも、ここは一歩踏み出してみては・・・・・・？」

『福地君は上目遣いに弱い』っと。メモメモ。

ふと会長を見ると、苦い薬を目の前に出された子供のような顔をしていた。

「福地君、会長が好きなモノとかって無いのぉ？」

「確かアニメのキャラの『ナマけっち』が好きだった気が・・・」

ナマけっち？ なんじゃそりゃ。

私は会長に近づく。会長が嫌と思わないくらいの範囲で。

「この傷を手当してくれたらぁ・・・う～ん、会長へナマけっちのグッズ買おうかなぁ♡」

「何故それを・・・？？」

「あ、今調べたら近くにアニメグッズのショップありますねぇ！ キーホルダー買ってあげようと思ったのにぃ～」

「えぇぇ！！！」

会長めっちゃ乗り気じゃん。

「会長が手当してくれたらぁ、買いますけどぉ・・・どうしますぅ？」

二回目の『ウワメヅカイ』！

「あぁ、確かに将来女性と色々あるかもだし手当しよう」

よし！ ちょっと話ズレたけど乗ってくれた！！ プランBは順調だ。

「じゃあ保健室ぅ、行きましょぉう♡」

「ああ」

　　　　　　　　　　　　　ーーー

会長、私がその嫌な病気「痛いの痛いの飛んでけぇ」ってしますから！！

そして後で私に感謝するという未来が見えるぞ・・・・・・！！

待ってろよ、会長ぅぅぅぅぅぅぅ

唇に幸福の笑みが浮かぶのであった。