警察官とオバサマ

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そのオバサンはその後、近くのオープン間近な老人ホームにねじ込んでくれるとの事で「とても親切な人」と兄は言っていたが、母の病状が思ったより悪くて入院しなければならないと判ると入院代と施設に入るお金は別に払わないといけないから、と言われて当然母の年金しか収入源のない兄は断念し新しい老人ホームの話は立ち消えた。 その後は来なくなったのでおそらく新しくできた老人ホームの勧誘が目的じゃないかと思っている。 なぜなら本当に「虐待だ」と思ってるなら老人ホームに入ろうがどうなろうがなんとかしようとする筈じゃなかろうか? 私は単に疑り深いだけかも知れないが、。 疑うと言えば昔なんだかよくわからない理由で警察官が二人ほど家に来て、更に2階の私の部屋を確認させて欲しい、と言われた事がある。 なんだか良くわからなかったが、とりあえず自慢の汚部屋を覗かせると何かを確認して降りて行った。 おそらく誰かに頼まれた様な気がしたので「誰かに頼まれたんですか?」と聞くと間髪入れずに「いいえ、誰にも頼まれてませんよ」と答えた。 私は誰かに頼まれたんだと直感した。 本当に頼まれてないなら、先ずは私の質問の意味がわからずにフリーズする筈なのだ。 間髪入れずに返答できるのは、誰かに頼まれていたからこそ直ぐに私の質問の意図を汲み取り疑われない為に「誰にも頼まれてない」と答えられたし、直ぐに答えないとという心理が働いたのだ。 更に普通に考えたら結構失礼な質問だし、怒ってもいいし、怒らずともムッとするはずなのに、飄々と答えたのも違和感があった。 私は誰が彼に何を言ったのかを推理してみた。 最初は私の家の前に位置してる立派なお宅のご主人かと考えた。 なぜなら前に会った時に凄い目で睨んで来たからだ。 私はひたすら笑顔、というか薄ら嗤いを浮かべていた。 しかし、なんの理由もなく警察官を呼ぶなんて意味不明な事をする人には思えなかった。 そういえば、ちょっと前に知らないオバサンが来ていたことを思い出した。 一階で兄貴と何やら話をしていた。 そういう人と話すのは専ら兄貴の仕事だ。 兄貴はそういう人と取り留めのない話をするのが得意だ。 長々と喋るんだが内容は保身か愚痴かもしくは意味のない話である。 親しくなければ話上手だと勘違いされる可能性すらある。 何回目かで同じ話をなんどもしてる事に気がつけば、自分を認識してるのかどうかも怪しいとわかるだろう。 つまり兄貴にとって相手は案山子(かかし)みたいなもので自分の話に相槌さえうってくれれば良いのだ。 間違っても否定したり怒ったりすると、もはや敵と認識されてしまうから注意が必要だ。 まぁ、敵の方が案山子よりはランクが上かも知れないがね。 閑話休題。 おそらくそのオバサマが警察に連絡したに違いないと思えた。
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