6. 守り桜

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「桜子ちゃんはここで私と一緒に、お父様とお母様が寿命を全うされるのをお待ちしていますと、どうかぼっちゃん達にお伝えください」  そう伝言を受け取って、お竹さんは言われた道を通ってこの世に戻って来たという。 「桜子は、本当のお祖母様と一緒なのですね」  糸子は顔を覆って泣き出した。それは安堵の涙のようだった。 (姉やが、いや母が、桜子の守りをして待っていてくれる)  倫太郎は姉やの温もりを思い浮かべた。  翌春。  倫太郎はもうすぐ臨月を迎える糸子と、川沿いの桜並木を訪れた。    満開を少し過ぎ、はらはらと舞う桜は美しい。  守り桜の下で待ってくれている(ひと)がいる。  いつか会えたら、どんな言葉をかけようか……。 <了>
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