会議

4/4
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「な、なんだと」  先生は呟く。作戦が失敗したのではないかと私とセキは顔を見合わせる。 「俺の行きつけのカフェより……おいしいじゃないか……!」  うーんと唸る先生。セキは驚いているのか嬉しいのかよくわからない顔をした。 「先生、行きつけのカフェってどこなんですか?」  書記が尋ねる。 「商店街の真ん中にあるところだ」 「あそこって超高級ケーキの店じゃないですか……!」  そこよりもおいしいのか。行ったことないけど。  先生は手をパッパッと払うと、はぁ、とため息をついてこう告げた。 「気が変わった。セキ、モニカの除籍はなしだ。地上との交流についても、上に掛け合ってみよう。よってこの会議も解散!」  外野から小さな拍手が上がる。それはやがて部屋を包み込む拍手へ変わる。会長もにこにこ笑っている。  私とセキはお互いの顔を見る。 「良かったね、モニカ」 「うん……なんとかなったね。セキの発言のおかげだよ」 「いや、モニカがちゃんとパイを天界に持ってきたからだ。僕は食べちゃったからね……」 「そうだね」と私が笑うとセキも微笑んだ。 「セキ、モニカ」  皆が帰る中、先生が私たちのことを呼んだ。 「なんでしょう」と、セキ。 「その……」  先生はきょろきょろと周りを気にしながら小声で伝える。 「先程のパイはどこで食べられるのだ?」  私は笑顔で答える。 「今度教えますよ。一緒に地上へ行きましょう!」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!