地上

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 そこそこ歩いたところで、木々が切り開かれているところがあった。そこには村があった。木と石で作られた家々がぽつぽつと並んでいる。小さな村だ。 「ここが私どもの集落ですぞ。大したものもありませんが、よかったらゆっくりしていってください」  老人がぺこりと私たちに頭を下げる。 「おじいちゃん!」  少女が走ってきて老人に抱きついた。老人はふらりと揺れる。 「おや。クミ、天使様が来たよ」 「……天使?」  少女は私たちを見つめる。セキはびくっとする。無垢な瞳に見つめられる。 「天使様だ! わーい、いらっしゃい! 歓迎するよ!」  褐色肌の少女はにこにこしている。敵意はなさそうだ。これがさっき言っていた天使好きの孫なのかな。 「ありがとうございます」 「いえいえ。広いところではありませんが、ちゃんと泊まるところはありますので」  他の村の人も歓迎ムードで、私たちを排除しようという感じはない。優しい人間たちだ。 「まずは食事を……クミ、一緒に作ろうか」 「私たちも手伝います」 「でも、天使様の手を煩わせるわけには」 「いえ、私たちが手伝いたいんです。ね、セキ」 「……」 「セキ?」 「……あ、あぁ……。わかった、よ」  緊張は相変わらずで、セキの口は震えている。  お昼が終わろうとしていた。
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