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「それで、モニカおねーちゃんは何を学んでたの?」
「そうだね。数学とか、国語とか、理科とか。まぁ、人間たちが学んでいるのと変わりないよ」
「へぇー、すっごぉい! わたしもそのうち学ぶのかなぁ」
「そうかもね」
夜。来客用の建物で、食卓に座りながら私とセキとクミは夕食後談笑していた。
ここの食事がおいしすぎる!
猟で獲った肉を使った揚げ物、木の実を使ったパイ、畑で採れた野菜のポタージュ。あまりにもおいしくて私はお腹いっぱい食べてしまった。おいしかったのはセキも同じのようで、緊張がほぐれ、午後には飛んでみせたり、村の仕事を手伝っていたりしていた。
この村には電気が通っていないみたいで、ランプの灯りが私たちを穏やかに照らしている。
「モニカは座学じゃトップなんだ」
「い、言わないでよ……」
「本当のことじゃないか。隠さなくてもいいことだよ」
「おねえちゃんすごい!」
そう、セキの言う通り私は座学は学年一だ。飛行訓練ができないから、その分座学を頑張っていたとも言える。そうじゃないと留年するから。
「おにいちゃんはすごいの?」
「すごいかはわからないけど……生徒会の副会長をしているよ」
「生徒会!? それってかっこいいやつじゃん! えー、すごい!」
「そう、かな……ははは」
セキは苦笑いする。
「いや、本当にすごいことでしょ」
私が言うと、セキは顔を赤らめ「そんなことないよ」と軽く否定した。
生徒会役員は毎年選挙で選ばれる。セキは会長と違い圧倒的な票を獲得してその座に就いた。それだけ演説が良かったのだ。もちろん顔も。
「天使にはどうやったらなれる?」
ふと、クミに尋ねられた。
「そうだね。両親とも、または片方の親が天使でないと天使は生まれない」
セキが答える。
「そっか……わたしは、天使にはなれないんだ」
クミは残念そうな顔をする。
「クミは、天使になりたい理由でもあるの?」
「わたしは」
私はクミが泣きそうな顔になっていることに気づいた。しまった、よくない質問だったか。
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