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「モニカおねえちゃん、セキおにいちゃん。またね!」
「いつでも歓迎しますぞ」
私たちは二人に手を振る。
翌日。私たちは空へ飛ぶ準備をしていた。
クミからは昨日食べた木の実のおいしいパイを一片ずつもらった。セキは食欲がすごくてその場で食べてしまっていたが。
「また、会えるよね。おねえちゃん」
「もちろん」
いや、そんな保証はないけれど。クミとはなんだかまた、会える気がしたのだ。
「じゃあ、行こうか」
セキは私を抱える。いわゆるお姫様抱っこ。
「ねぇ、これ恥ずかしいんだけど」
「でも行きもこうやって来ただろう?」
「まぁ……そうだけど……」
私は「なにか?」とでも言いたそうなセキの顔を見ることができない。
「飛ぶよ」
セキはそう言うと、羽を動かし始めた。周りの木々が起こされた風で揺れる。
重力を感じる。私たちは宙に浮かび始めた。どんどん地上が遠くなる。
「モニカおねえちゃん! セキおにいちゃん!」
クミの声が小さく聞こえる。もう地上の人々は小さくしか見えない。
「元気でね!」
雲が私たちの視界を塞ぐ。地上が見えなくなる。
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