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「浅葉、テストどうだった?」
「二学期よりはよかったけど、正直微妙かな。あんまり成績変わらないかも」
「結構、テスト前頑張ってたのにね」
「やっぱ日頃からやらないとなんだろうな」
他愛もないことを話していたら鼻水が出そうになってきた。薬が効いて眠たくて仕方ないと言うのに、鼻水は止まらないらしい。
今、鼻をかんだら大量の鼻水が出てしまいそうだ。そんなかっこわるいところは見られたくない。駅舎の外で思い切り鼻をかんできたい。
渡瀬が何か話を続けているような気がするけれど、頭の重さと鼻水で全然、頭に入ってこない。
「ごめん」
たとえ渡瀬の話であっても、もう無理だった。
僕は鼻水が溜まりそうになっているマスクに気づかれないことを祈って、カバンを持って、駆け足で駅舎を出た。
ああ、せっかく、渡瀬と話すことができる機会を逃してしまうなんて! 渡瀬に「浅葉ってなんか変な奴だ」って思われてしまったかもしれない。せっかく一年間楽しく過ごしてきたのに。
僕は桜の花粉症を恨んだ。
桜なんて嫌いだ。
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