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 二年になると、渡瀬と僕は違うクラスになった。  クラスが離れていると、どうしてか今までの友達とも疎遠になる。渡瀬とも疎遠になってしまい、彼女と話すこともなくなってしまった。  この学年は、一組から四組がA棟、五組から七組がB棟に別れている。なんでそんな分け方なのかは知らない。ただ渡瀬は三組で、僕は六組だから、棟自体が離れている。そんなわけで、渡瀬とは廊下でばったり会うことすらなかった。  毎日のように話していた一年の頃が嘘みたいだった。  ただ、渡瀬と話す機会がなくても時間というものは流れていって、二年は、一年の頃よりも時間の加速度が速かった。なんだかあっというまに桜は葉桜になったし、季節はあっという間に過ぎていった。  二年の冬になる頃には、僕はそろそろ進路を決めなければいけなかった。僕は東京の大学を目指していたが、どうにも成績がパッとせず、第一志望の大学はA判定になることもないまま、二年を終えようとしていた。
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