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クールで飄々とした美形の口から、三枚目の変態みたいなセリフがでている。エロ漫画の広告で見かけるタイプの現実味にかける、本当に芝居じみた内容に唖然とする。
でも嫌じゃなかった。安心したせいでそんな姿もおかしくて、なんだか可愛らしく見えてたまらない。
結局、互いが互いに踊らされていたわけだ。
秀は苦笑して視線を逸らし、雪彦の様子を窺いながら小さく呟く。
「……歯止め、外せば?」
「…………しかし、病み上がりなんですから」
「お前、ノリが悪いって言われない? そんなんじゃ一生食いっぱぐれたままだぞ」
これを逃したら一生触らせてやらないぞ――調子づいてそう脅してみたものの、雪彦の顔つきが露骨に変わったのを見て、「あ、失敗したかも」と瞬時に後悔が押し寄せた。
ごくりと生唾を呑んだ雪彦の手が、おそるおそるといった様子で伸びてきて、秀の両肩を掴んだ。
その途端、蛍光灯が激しい明滅を繰り返して、フッ、と消える。
視界は闇に包まれ、微かに差し込む月明りだけが頼りだった。
「いいよ。……好きなようにしろよ」
「秀さん……!」
「ッ!」
言うが早いか、雪彦に押し倒されて背中を強かに打ち付けた。顔の両側に手をつかれ、縫い留められた秀は少しだけ怯む。はあ、と獣のような荒い息を繰り返す彼の屹立が、太ももにぐりぐりと押し付けられている。
本当はシャワーを浴びてからの方が良いのだろうが——仕方がない。
「いいん、ですね? もう止まれない、です」
「……いいよ」
「嫌がっても、やめられませんよ? 優しくできないかもしれない」
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