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興奮してぎらつく彼の瞳が、それでもいいのかと問うてくる。
優しくて惨い男だ。今にも引きちぎれそうな理性をどうにか繋ぎ止めて、秀を逃がそうとしてくれている。その慈悲深さに苦笑しながら、秀は小さく頷いた。
もう、彼から逃げるつもりはなかった。
「は、あ……秀さん、秀さん、俺の、秀さん……!」
「ちょっ、ま、っ……ぁ!」
熱くぬるついた舌が、首筋を淫らに這いまわる。それまで秀の腰のあたりを摩るようにまさぐっていた腕がシャツの下に忍び込んで、胸の突起を弱く捏ねた。
「っ、ふ、いいよそういうのは……!」
「ん、でも、もう硬い……ここも、下も」
「言うなって……!」
胸で膨らんだ尖りをきゅっ、とつまみあげられると、痛みと共にもどかしい快感が腰を突き抜けた。思わず腰が浮く。雪彦とキスをして、ほんの少し触れられただけだというのに、花芯は既に熱を持ち始めている。間に割り入って来た雪彦の膝が食い込むたび、意図せぬ喘ぎが漏れた。
「胸も、いいんですね」
弄ばれてTシャツ越しに浮きあがった尖りを見た雪彦はうっそりと笑うと、そこに唾液を垂らし、舌先でつついてから、見せつけるように音を立ててねぶり始めた。
「っ、それ、変」
「嘘……はあ、秀さんの味がする」
「っ、この、へんたい……!」
吐息の熱さえダイレクトに伝わって腰に響く。平たい胸に赤子のように吸い付く雪彦に苦笑しつつ、秀は控えめにその頭を控えめに押し返して抵抗するフリをする。
「いや、ですか」
「——へいき。平気だから、それがなんか、逆にこわい」
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