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「何なんだ。普段は女なんか関係無いという顔をしながら、どうして志摩なんだ」
「しかたあるまい。男だったら、力尽くで奪ってみろ。まあ今のお前にはできまいが」
太郎は梨音に挑発されて、身体が震えた。頭とは別に身体が梨音の強さを覚えているのだ。志摩が振るえる太郎の手を握り返す。それで力を得た太郎が叫んだ。
「奪ってやる」
太郎は志摩の手を離し刀の柄に手をかけると、梨音が薄笑いを浮かべた。なぜか碧も冷たい目で二人を見るだけで止めようとしない。
真上で照りつける太陽以上に熱い戦いが始まろうとしていた。
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