第15話 誓い

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「太郎、どうして」  ここに来た理由を訊きながら、碧は立ち上がった。太郎はつかつかと碧の傍に歩み寄り、両手を伸ばして抱き寄せた。  太郎に抱き寄せられて、碧は一瞬戸惑ったが、すぐに安心したように太郎の胸に顔を埋めた。  抱きしめながら太郎は囁いた。 「碧、俺は強くなる。誰をも守れるように、兄よりも強くなる。だから、そのときは俺のものになってくれ。待っててくれないか、頼む」  碧は太郎の背に回した手で、太郎の背中を思いっきりつねった。 「また待つのね。いいわ。ここまで待ったのだから、最期まで待ってあげる」  そう言って、再び太郎の胸に顔を埋めた。  太郎は背中の痛みを耐えながら、碧を抱きしめる手に力を込めた。
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