第17話 反政府の輩

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第17話 反政府の輩

 今日も政庁前に反政府の団体『ハヤブサ』の示威運動集会が開かれている。指導者は三木直綱。反政府系新聞『自連日報』の花形記者だ。集まっている人数はおよそ二千人。最近では類を見ない異例の参加者数だ。  三木は一昨日から駿府の民に、十日間の連続集会を呼びかけた。初日は四百人だった参加者も、昨日は千人、そして今日は倍の二千人が集まった。純粋なハヤブサの運動員は、三百人程度と報告されているから、千七百人もの一般人がこの集会に参加したことに成る。  この様子を政庁三階の討議の間から見た、土屋長安の顔は渋かった。彼らの主張は、他地域における自連加盟要求の受入拒否だった。理由は簡単だ。他地域への政治的介入は(いくさ)につながるからだ。事実自連政府は、他国に対し自連への新規加盟地域への武力介入には、即時応戦すると告げている。佐和山城攻防戦で見せた、自連の圧倒的な武力があってこその抑止効果だった。  しかし、この政府の対応に異論を唱えたのが三木だった。三木は飛騨の戦国大名姉小路頼綱の四男で、武田の飛騨侵攻時に武田家の人質となった。武田家の滅亡後は駿府に避難し、そのまま自連の民となる。
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