命~colors

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 小学校に入る頃にはもう、違和感しかありませんでしたよ。  だって、赤いランドセルに赤いスカート。どちらも嫌で嫌でしょうがなかったから。  母や祖母が着せたがる服なんか、もう、フリフリやリボンが付いててね。  私が泣きながら拒んでも、デザインが気に入らないくらいにしか思ってなかったんでしょうね。わがままいって困らせないでって感じなんです。  あきらめていくんですよ。  女の子の列に並ぶのも、女子トイレに入るのも、女の子の友達を作るのも、本当に本当に嫌なのに、環境がそれを許さなくなるんです。  肉体的な差異だって、どんどん大きくなっていきますしね。  親にだって友達にだって、言えないでしょ。    急に 「ボクは男なんだ!」  なんて言ったところでちゃんと話をきいてもらえるとは思えないし、  正直、いじめの対象になるんじゃないかっていう不安もありました。  子どもだって空気を読むんですよ。  でも、まぁ、ただ勇気がなかっただけなのかな。  弱虫なんです。
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