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大きなたまごへ
手のひらに収まっていた小さなたまごを、端に避けてあたしは送り状の品名を見る。
【大きなたまご】
と書かれていて【割れ物注意】のシールが貼られていた。菜乃花は、祖母にあたしの愚痴をよく話している。
「菊乃ばあちゃんにママのセリフ言ったらさぁ~似た者同士ねって笑ってたよ?」
菜乃花の髪は紫色に染まっていた。早く段ボールの中身を見たいらしく、そこから離れないでいる。
ビリビリとガムテープを剥がし、送り状を丸めていく。梱包材に守られる形で大切にされていた大きめなたまご。 その上には折り畳まれた紙が入っている。
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【菖蒲へ
大切に育てましょう。菜乃花に言う前にあなたが見本を見せないでどうするの?
古川菊乃】
白いたまごではなくて、うずらの卵を大きくしたようなたまごで、小さな振動で、ゆっくりとたまごがひび割れていく。
「うわ、なになに?」
たまごの中身を見たことがない菜乃花は、興味津々に割れていく光景を見ている。あたしは見なくても中身が何か知っていた。
黄色いくちばしが出てきて、菜乃花の髪と同じ色の紫色の鳥が、ゆっくりと目を覚ます。瞳は少女漫画のようにデカい目をしたそれをあたしは、育てるのをやめたの。
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