大きなたまごへ

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 本当に欲しいたまごじゃなかったから、うずらのたまごみたいな柄ではなくて、結香が持っていたピンクのたまごが欲しかった。だってそのたまごのほうが、白い水玉模様で可愛かったから。  たまご交換をやめた時期に結香と関わりをやめた。 『菖蒲ちゃんにあげたのに私が育ててる。無責任だよ!!菊乃おばさんから聞いたよ』  そうか、このたまごは、持ち主の結香の所へと戻ったんだ。でも、送り主は家からになっていたのはどうして? 「なになに?」  右の羽を押そうとする菜乃花の手を止めて、紫の鳥の臀部にある電池入れのカバーを外した。 「ちょっと、ママいいところなんだけど」  菜乃花が立ち上がり、手を伸ばそうとする。けれど、あたしの顔を見て、眉を八の字に下げて質問する菜乃花。 「ママ、ママ?どうしたの?」  電池なんてなかった。
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