サクラ色のミリカ

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今年の四月、中学二年生のミリカは転校をした。 渋谷まで三十分といった都内の学校から、急行の止まらない最寄りの駅までバスで四十分かかる片田舎の学校へ。 引っ越したのは父親の仕事の都合上だったが、ミリカは引っ越す前から不満たらたらだった。 そして転校をしてニカ月たった六月。 ミリカは絶望しかなかった。   前の学校では一番イケているグループの中心だった。 身長百七十五センチのモデル体型で、スウェーデンの血が入ったクォーターであるミリカは誰もが一目を置く存在だった。 生まれ持ったスペックの高さと、空気を読むのに長けていたこともあって、人生向かうところ敵なしである。 ところが、転校先の学校では完全にクラスで浮いたまま、二カ月がたってしまった。 気軽に話せる友だちもいない。 一学年に一クラスしかないこの学校は、クラス替えもないから、もう女子のコミュニティはできあがってしまっているのだ。 前の学校では同じく背の高いセリナといつも一緒にいたからよかったが、ミリカの次に背の高い女子は百六十五センチぐらいで、ミリカとは十センチも差がある。 頭一つ抜けたミリカを迎え入れようという女子は誰一人いなかった。 ここ二カ月、クラスの真ん中の席でぽつんと暇をもてあましていた。  
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