サクラ色のミリカ

4/7
前へ
/7ページ
次へ
「今日もフラワーアレンジメントの教室でほめられちゃった」 家に帰って、夕食の時間。 パパは仕事で帰ってきていないので、ママと二人でごはんを食べる。 ママは上機嫌だった。 今日に限ったことじゃなくて、ここに引っ越してきてからママは元気だ。  ミリカは本当にママに似ていないと思う。 切れ長の一重瞼に薄い唇。典型的な日本人顔。 都会の人混みよりも、この活気のない街の方が落ち着くというのだから信じられない。 以前から習っていたフラワーアレンジメントも、こっちの教室の方が人数が少ないから、先生に丁寧に教えてもらえると喜んでいる。  「ミリカも最近落ち着いてきたし。ここにきてよかったわね」 「そうだね」 ミリカはうなずく。 学校でぼっちになってることは言ってない。 ママは本当に怒らなくなった。 以前はミリカがショートパンツをはいたり、お腹を出したりするファッションにいつも口出ししていたし、セリナたちのことも悪い友達にみえたらしく、あんまり好きじゃなかった。 以前のママの心配はまったくの杞憂である。 ミリカたちはやさぐれているタイプではなかった。 学校で怒られないギリギリのラインを攻め、むしろ先生から可愛がられるタイプだった。 みんな協調性のあり、文化祭なんかは盛り上がる。 あのまま東京にいても悪い遊びなんかしなかっただろう。 そこが学生時代、優等生だったママには分からないらしい――。    
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加