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「ところで、リネット。今日の演奏を奏でるのは他国の楽団らしいよ」
「……まぁ、そうなの!?」
音楽に通じているアシュベリー家の一員というべきか、父はこういう事情にはとても詳しい。
それこそ、音楽関係では国王にさえも頼りにされているくらいだった。
「あぁ、なんでもレックス殿下が留学先でぜひとスカウトされたらしい。今回のパーティーは、レックス殿下の意向に沿っているからね」
にっこりと笑って父がそう教えてくれる。
今回のパーティーの主役はレックスであるためか、このパーティーにはレックスの意向が存分に反映されているらしい。
食事は彼の好みのものが多いというし、父の言葉が正しければ楽団もレックスのお気に入りのようだ。
「……いつも思いますが、陛下も王妃殿下もとてもレックス殿下には甘いですよね」
甘やかされて育ってきたリネットが言えることではないが、国王も王妃も多少なりとも末の王子であるレックスに甘い。
レックスの兄たちもレックスには甘いと言うし、さらには周囲はレックスに過保護なのだ。
それこそ、一時期は『鳥籠の王子』という呼び名がついたくらい。……姫ならばまだしも、王子なのかと思ったのは記憶に新しい。
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