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「ところで、この十日間、一度も見舞いに来てくれなかったよね」
「え?」
「本当は心配なんてしてなかったんでしょ」
「だって、妙香が言ったんじゃないか。検査結果が出るまでは一人にしてって」
「だからって、そう言われても来るのが普通じゃない」
「連絡もしてこないでって言われてたし」
「言われて、はいそうですかってなる?」
進一君は言葉に詰まってしまったようだ。きっと少し怒っているんだろう。
今しかない。言え、言うんだ妙香!
私は自分にそう言い聞かせて、やっとの思いで進一君に告げた。
「所詮その程度ってことよね。私たち‥‥‥別れましょう」
「ちょ、待ってーー」
私はそれだけ告げるとすぐに電話を切った。
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