#19「奇跡っていうレベルじゃねぇぞ!」

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#19「奇跡っていうレベルじゃねぇぞ!」

(会えるかなぁ…。) 電車を待ちながらそわそわしている引子がいる。 今日は近くのアニメイドに買い物に行くのだが、メインは進司に会えたらいいなと言う期待だった。 (まだ読み終わってないけど…会えたらLINE交換なんか出来たら…ぐへへへへ) にやけていたものの、急に顔が素に戻る。 (私なんかに交換したいなんて、思わないよな…こんなブス) そう思っていると電車が来たので不安な面持ちのまま乗り込んだ。 急いで以前と同じ席に座って当たりを見渡す。 (おじさん、イケメン、女性、おばさん…なんかいなさそう) その時ふと、進司がどのタイミングで乗ってきているか知らない事に気がついた。 (気がついたらいるからなぁ…顔可愛いんだよなぁ。) 「あっ!引子さん!」 真後ろから声が聞こえた為一瞬硬直したが、すぐに振り返ると彼の顔がすぐ上にあった。 「し、進司さん…。」 口も回らぬままそう言うと、大輪が咲いた様な満面の笑みで喜びを口にした。 「うわあぁ…!なんかいいですね!こう…恋人みたいで。」 「恥ずかしいこと堂々と言わないでください!!」 赤面を隠すようにそっぽを向くと、進司はこう言った。 「そうだ!僕、引子さんに聞かなきゃ行けないことあるんでした。」 ポケットから白のスマホを取り出すと引子を真っ直ぐ見つめた。 「iine、交換しませんか?」
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