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#11「びゃあ"こわい"ぃ」
混乱する引子の目に付箋を捉えた。
「お母さんがしまいました。ぜひ食べてください。」
「これ、お母さんの字じゃない…。」
震える声で呟き、何をするか考えようとする。
「け、警察…!」
携帯に手を伸ばそうとした瞬間、意識ごと後ろに引っ張られた。
「えっ!?」
急に引っ張られた為尻もちをつく。
「いってぇ…。…え?」
真っ暗な何も無い空間に1箇所だけ光が指している所がある。
何が起きたのか分からず戸惑っている引子に真後ろから声がした。
「いきなりで悪かった。」
「うわっ!」
ビビり散らかしながらも恐る恐る振り返ると、背の高い男性が立っていた。
銀髪につり目、右目に泣きぼくろがある20代後半と思われる見た目。
Tシャツにジーンズ姿で隙間から見える腹筋がかなりゴツゴツしく感じた。
「あ、あなた誰ですか?」
その容姿の良さにどぎまぎしながら聞くと、その男性は眉間に皺を寄せ吐き捨てるように言った。
「その前に自己紹介だろ。」
「あっ!す、すいません…。」
引子はまだ心の整理が着いていなかったが、言われるがまま自己紹介を始めた。
「は、初めまして…。後藤 引子です。」
「うっす。」
「趣味は…。」
「いいよ言わなくて。一応したかっただけだから。」
男性は耳の後ろを掻きながら話し始めた。
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