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#12「訳わからないよ」
「俺はルベウス。改めて宜しくな。」
ルベウスと名乗るその男性は、ぶっきらぼうに手を差し出した。
「よ、宜しく…ってかここどこなんですか?さっきまで部屋にいたのに…。」
「お前に説明してもすぐはわかんねぇと思うけど1から教えるわ。」
そう言うとルベウスは、真っ暗な空を見上げた。
「ここは引子の脳内だ。俺とお前は今頭の中にいる。あそこに光が当たってるだろ?あの下にいくと現実世界に出てこれる。」
なんの事かさっぱりだった。
夢なんだろうかと錯覚するほど言ってることが意味不明だったからである。
「基本はお前が出てるけど、突発的に俺に変わる時がある。後はお前が寝てる時だな。」
「私が寝てる時?」
「そう。お前が二日酔いとかで寝っ転がってる時に俺に変わり、お前の代わりに片付けてやったり仕事してたってワケだ。」
自分が寝てる間に勝手に自分の部屋を弄られていた事を考えるとゾッとした。
(仕事…!?いつの間に!?)
何も理解出来ないでいると、見かねたルベウスが補足した。
「あ〜つまり、冷蔵庫の中に勝手に食材入れたの俺なんだ。いつもはお前が買うようなツマミとかで我慢してたんだけどな。結局バレちまったな。」
疑問はまだ大量に残っているものの、納得がいった。
現実世界には、俯いた状態で座り込んでいる引子が目を閉じていた。
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