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#13「ルベウスのひみつ」
バツが悪そうに言ったルベウスに、引子は食い気味に聞いた。
「あ、あなたは一体なんなんですか!?脳内とか現実世界とか…何が何だかわかんないですよ!」
目を伏せるルベウスは何かを思い出している様だった。
「俺はお前のストレスから生まれたんだ。お前のストレスを引き受ける身代わりでしかねぇんだよ。」
「どういうことですか…?」
「元々はお前だけだったはずだ。それがちいせぇころに周りからストレスを受け続けちまったせいで俺が生まれた。少なくとも先生はそう言ってた。」
憎らしそうに言うルベウスを見てなんとなく事情を察し、引子はおずおずと謝罪の言葉をかけた。
「ご、ごめんなさい…私のせいで嫌な思いしてたってことですよね。でも、先生って誰ですか?」
「精神科の先生。薬飲んでたんだよ。こっそり通ってたんだ。」
「精神科って…。」
「解離性同一性障害、それがお前と俺の病名だよ。多重人格って聞いたことある?」
2次元のキャラクターでいるけど現実にいるとは思っておらず、まだ状況が飲み込めていなかった。
「俺はお前の理想だ。こんな奴が守ってくれたらなーっていう願いから俺が出来た…って俺が説明するのも変だけどな。」
くしゃりと笑った顔が痛々しくて、引子は何も言えなかった。
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