#18「激おこプンプンハム」

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#18「激おこプンプンハム」

服と本を片付けていた時だった。 「そういえば、なんか本借りてなかったっけ…。」 カバンを探ると本が滑り落ちてきた。 「告白 湊 かなえ」 表紙には陰影の真ん中に教室の机が1つ佇んでいる。 「ラブコメ系…にしてはなんだか暗いから…、失恋系とか?」 小説どころか本は漫画しか読まない引子にとって、 最初のページを見ることは至難の業だった。 緊迫した様子で見始めたものの、1枚ページをめくる度に読むスピードがどんどん進んで行く。 お腹から大きなアナウンスが聞こえた時、引子はようやく読むのを中断した。 「もう夜か…。」 目を瞬かせ大きく伸びをした引子は、だるそうにゆっくり冷蔵庫に向かった。 「あ、なんか貼ってある」 味噌汁と、ご飯、 生ハム食ったからな。 ルベウス 「な〜ま〜ハ〜ム〜!?」 プラのゴミ箱には大量のゴミの上に確かに生ハムの袋があり、引子はそれをじっと見つめていたかと思うと付箋に手を伸ばした。 私の分も残せ!ケチ! のぶこ そう走り書きをするとルベウスの付箋に重ねて貼り、ビールとイカ天のお菓子を取り出した。 「全くもう…勝手に生ハムなんて高級なもの食うとかずっる!仕事してるからってさー、少しぐらい分けてくれたっていいよねー!」 貪り食う引子を逆さまのお月様が覗いていた。
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