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#2「二日酔い半端ないって」
真っ暗な部屋の中、パソコンを打つ音だけが響く。
「…にたい…にたい死にたい死にたい…」
限りなくナマケモノに近い体制だが睨みつけるように画面を見ていた。
「首吊り 楽」
「楽な死に方」
「自殺 おすすめ」
物騒な検索を瞬きもせずにしていく。
検索履歴もろくな単語はなかった。
「うっ…やっぱりするんじゃなかった」
吐きそうになり顔を歪める。
そう、1ページ目(この物語上は昨日に当たる)に飲んだビールが祟って、二日酔いの真っ最中なのだ。
堪らず近くにあったビニール袋に嘔吐する。
混濁した意識の中うっすらと、制服を着た高校時代の自分を思い出していた。
コンビニで買ったお菓子を友達と話していたその日は真夏で、アイスを食べながらだべっていた。
(暑すぎるわー…こういう時のアイス最高…)
そんな声が記憶の向こう側から聞こえてきた。
涼しい室内、足の踏み場のない床、静まり返った空間。
冷たすぎる現実が自分の心までも侵食してくように感じた引子は、机上のカッターに手を伸ばす。
じっと見つめ、大きなため息をついてから元の場所に戻した。
「苦しいのに、嫌で仕方ないのに、死ねないよぉ…。ううぅ…。」
どす黒い雲が窓に差し込む光を遮ろうとのさばっていた。
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