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俺は、ときどき泳ぐ。
世間の雑音から遮断された空間に身を委ね、ただひたすらに泳ぐ。
自分の中にある寂しさ、いやらしさ、だらしなさ。そういったものを泳ぐことによって浄化する。
泳いだからといって、それらがきれいさっぱり浄化されるなんてない。これはごまかしだ。
それでも、俺は泳ぐ。特に翔太と会った次の休みの日は。
理由は単純。無性に感じてしまうのだ。
孤独を。
自分の犯した罪の重さを。
それを忘れるためだけに、俺はひたすら泳ぐ。
忘れたい。何もかも。
水は、それを少しだけ現実にしてくれる。
俺を救ってくれる。
そんな気がしている。
根本的な解決には決してならない。
全てはごまかしだけど。
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