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もう死んじゃうか。
いやいや、そりゃダメでしょ。
自己否定と自己肯定。
そんなことを繰り返し、自分を誤魔化しながら生きてきた。
特に、朱美と翔太と別れてからは。
そうしなければ、生きていけなかった。
自分自身を保てなかった。
しかし、それはあっさりと終わりを告げた。
「翔太とは、もう会わないでほしい」
会社から帰り、自宅へたどり着いた直後の電話で、朱美からそう言われた。
身体の中心部がとてつもなく重たくなるのを感じた。
「翔太がそう言ってるの?」
「そう」
瞬時に嘘だと分かった。
「分かった。翔太がそう望むなら」
俺も嘘をついた。
短い会話だった。わずか1分程度の電話で、俺は絶望に引きずり込まれた。
もう死んじゃうか。
うん。それでいいかも。
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