海に行く

5/5
前へ
/36ページ
次へ
 翔太を失った今、俺は何を生きがいに生きていけばよいのだろう?  朝、家を出て会社へと出向き、卒なく業務をこなして1人住まいのマンションに戻る。生活を営み、翌日の朝、再び家を出る。毎日繰り返される同じ1日。  スポーツや映画に興味がないわけではない。しかし、それが生きがいになるほど、熱狂的でもない。  翔太は俺の全てだった。翔太と会える日を待ちわびながら、その1か月を過ごしていた。それが生きる活力だった。  こんな人生に何の意味があるのだろう?  妻と別れ、子供と会えなくなり、俺は1人。それでも生きなければいけないのか?  そんな答えのない問いが、頭の中を駆け巡った。答えなどないかもしれない。  でも、思った。  この問いからは、逃げてはいけないのではないかと。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加