そして、生きる

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 いくつの季節が過ぎただろう?  俺は40になろうとしていた。  40…か。  自分が一気に老け込んだ気がした。30の時とは違う、諦めようのない心境。  まだ若いと言われれば、そうかもしれない。ただ、もう若いと言ってはいけないような気もした。  翔太と会わなくなって10年。朱美からの連絡が来て以降、翔太とは一度も会っていない。  3月。  普通に進学していれば高校を卒業する年。  もうこれで最後にしよう。  もう十分だろ。  そう自分に言い聞かせるように、俺は郵便局へ向かった。
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