そりゃダメでしょ

6/8
前へ
/36ページ
次へ
 小学生の頃は野球に夢中だった。プロ野球選手に憧れた。芸術的なヒットを打ち、柔軟なフィールディングで、颯爽とゴロを裁く。そんな選手を夢見た。  バッティングセンターに惜しげもなく通い、父が休みの日はノックをしてもらって、俊敏性を鍛えた。  毎日が新鮮だった。毎日が楽しかった。  中学生になり、俺は勉強も恋愛もそっちのけで、野球に没頭した。そして掴んだレギュラーの座。2番、セカンド。それが俺に与えられた役割だった。  時にはヒッティング。時にはバント。状況に合わせて、俺は自分の役割を着実に果たした。  守備では、誰にも引けを取らない鉄壁のフィールディングをこなした。それが俺の誇りだった。  中学での野球部は、地元大会で優勝し、地区大会へと進んだ。各県の代表チームと戦っても、俺たちのチームは互角以上の戦いを演じた。  練習は厳しかったが、それ以上に、チームメイトとの絆は深まった。  いつかプロになる。そんな夢が広がった。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加