そりゃダメでしょ

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 高校に入っても、野球漬けの毎日だった。ランニングに始まり、キャッチボール。それからバッティング練習と守備練習。  俺は1年の頃からレギュラーに交じって、試合にも出してもらった。ウエイトトレーニングのおかげもあり、中学の頃に比べてひと回り身体も大きくなった。  2年になると、3年に交じってレギュラーとして定着。打順こそ下位打線だったが、守備と走力を買われての抜擢だった。  順風満帆だった。  楽しかった、毎日が。  本気で甲子園を目指した3年。俺たちは地区大会を勝ち抜き、ベスト8まで勝ち進んだ。高校始まっての快挙で、全校生徒がその行く末を見守った。  ベスト4を賭けた準々決勝。相手は優勝候補で、県内では甲子園常連の高校だった。  そこで見せつけられた。格の違いってヤツを。バッティングの1振り、送球1つ取っても別格だった。  野球は1人でするスポーツではない。9人、いや控え選手や応援する方々も一丸となってできるスポーツだ。  1人だけがずば抜けてたって、勝てない。それを思い知らされた。俺は2安打を放つも、結局2-7の大差で負けた。  俺の夢は(つい)えた。
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