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船内に入るとそこは長く続く廊下だった。その廊下にはいくつかのドアが配置されており、そのサイズから異星人は私達と同様の身長だったと推測された。
直ぐに私達は何か黒くて丸いものが廊下や部屋に沢山転がっているのに気付いた。それは丁度、鶏のタマゴと同じ様な形状と大きさで、船内の至る所に無数に転がっている。
「……これは何なの? 黒いタマゴ?」
宇宙服の手袋でそのタマゴを拾ってヘルメットの照明に当ててみる。黒い表面はスベスベで光沢がある。
「何かの……生物のタマゴなのか?」
私と同様にマジマジとそのタマゴを見つめているカケルがそう呟いた。
「分からないわ。持ち帰ってラボに解析をお願いしましょう」
そのタマゴ数個を宇宙服のポケットに収納すると、更に六時間を掛けて宇宙船の内部を調査した。しかし船内には無数の黒いタマゴが転がっているだけで、異星人の痕跡は皆無だった。
「宇宙船が墜落後、異星人は脱出したのかな?」
カケルのその言葉に私も小さく頷いた。
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