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それ以来、俺達は何かあるごとに桜の樹の下で将来の話をしながら、キスをした。
さりなは大学に進学をし、教育学部に入って将来は教師になるのが夢だと話す。
『俺は』
俺は自分の将来を考えたことが無かった。母親1人の家庭では、大学に進学するだけのお金に余裕があるとは思えない。だから、俺は『働こうと思う』と彼女に話した。
さりなはその話を、俺の知らない所で母親に話したらしい。
『あの時みたいに、口を塞いでおけばよかった』
それはさりなにキスをしておけばという意味だが。
しかし、予想外の展開が待っていた。
『あんたを大学に進学させるだけのお金はあるよ。足りないのは、あんたの成績だけだよ』
母親に呼ばれ、進路の話をした時の事だった。
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